東京都美術館からのご挨拶

90年近い歴史を持つ日本最初の公立美術館が、「伝統を重視し、新しい息吹との融合を促す美術館」をミッションの一つに掲げ、「TOKYO CRAFTS & DESIGN」がスタートいたしました。アーティストに作品発表の場を提供してきた東京都美術館は、伝統工芸やデザインの創作活動を支援し、幅広いジャンルにおける「アートへの入口」を目指します。

支援にあたっては、各方面の機関と連携協力し、取り組んでまいります。本プロジェクトではすでにたくさんの方々から、ご尽力を賜りました。これまで支えてきて下った方々に改めて深く感謝を申し上げますとともに、今後ともご理解とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

東京都美術館ロゴ

 

TOKYO CRAFTS & DESIGN 2012 プロジェクト概要

東京都では伝統工芸品として41品目が指定されています。それらは江戸時代に花開き、長い年月を経て育まれてきた技と魂の結晶です。しかし、時代が激しく移り変わる中、苦境に立ち新しい道を模索する工芸も少なくありません。一方、東京の文化やデザインは世界中から注目され、伝統工芸に興味をもつ日本人デザイナーも年々増えてきています。

「TOKYO CRAFTS & DESIGN」は、現代のライフスタイルに合った商品のアイデアを必要とする伝統工芸の職人と、工芸の魅力を知り自らのアイデアやデザインを生かしたいと考えるデザイナーとが「協働」して、新たな伝統工芸品を創出するものです。職人とデザイナーは、互いに理解をめながら、チームとして商品開発に取り組んで参りました。それをアートディレクター、学芸員、知的財産アドバイザーなど専門家集団がともに考え伴走しました。そしてここに「未来の伝統」となる美しいミュージアム商品が完成いたしました。東京都美術館から、日本へ、そして世界へ。伝統工芸品の持つ新しい可能性を感じて頂ければ幸いです。

 

TOKYO CRAFTS&DESIGN Our Values(私たちの価値観)

1、21世紀の名品作り
私たちは、100年後にも伝わる「ものづくり」を目指 します。その為に、技術水準の向上、高品質・適正価 格の維持に努めます。

2、匠の伝承
私たちは、安易に量産技術に頼ることなく、後世に残 すべき職人の手仕事を大切にし、ものづくりを通じて 技術を伝承します。

3、クリエイター育成支援
私たちは、クリエイターに広く機会を提供し、共に悩 み、共に走ることで、クリエイティブ産業の発展に貢 献します。

 

TOKYO CRAFTS & DESIGN 2012 アートディレクター ムラタ・チアキ

株式会社ハーズ実験デザイン研究所 代表取締 / METAPHYS 代表
京都造形芸術大学 プロダクトデザイン学科教授 / インスティチュート所長

江戸文化から現代へと継承されている東京都の伝統工芸。その技を闇雲に守るのではなく、現代文化に沿った進化を遂げるようデザイナーの視点で導くというスキームに期待が込められています。ここに、工芸職人とデザイナーの交流による今までにない化学反応が始まると考えているのです。「TOKYO CRAFTS & DESIGN」は、まず、東京の指定伝統工芸品目に携わる伝統工芸職人を中心に公募を行いました。この職人の技をWEB上で公開することによって、デザイナーはその技を使ったデザインを創造することが可能になりました。

さらにマッチングを希望する工芸職人の現場を見学するなど、体感交流をすることによって制作可能な作品をお互いに認知する期間を設けました。 そして、デザインプランに沿った試作を工芸職人と作り出し、商品化のプロセスを経て選定されたシリーズが、「東京都美術館オリジナル商品」として2012年10月より展示、販売されることとなりました。この新規事業で、伝統工芸職人の技とデザイナーの視点が、東京に新たなムーブメントを創ることを期待して止みません。